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Webシステム開発を外注するメリットやデメリット、注意点を解説

  • システム開発

最終更新日:2022年09月15日

Webシステム開発を外注するメリットやデメリット、注意点を解説

近年はWebシステム開発を自社ではなく外注に出す企業が増えてきました。社内のスリム化、アウトソーシングの促進など、外注に出す目的は企業によってさまざまですが、初めてシステム開発を外注する際は不安もつきものです。

社内でどのような準備をしておくべきか、予算はどのくらいを想定すべきか、内製化と外注はどちらがおすすめなのか、など外注する業者を探す前に、知っておくべきことはたくさんあります。そこで、ここではWebシステム開発の外注をするメリットやデメリットをはじめ、外注先の選び方や注意点を具体的にご紹介します。

CONTENTS

システム開発の「外注」が昨今の企業のトレンド

システム開発の「外注」が昨今の企業のトレンド

昨今は日本の企業において「外注」がトレンドとなっているのはご存知でしょうか。今回ご紹介するWebシステムだけではなく、営業や製造、人事、会計、コールセンターなど、あらゆる業界でアウトソーシングが着実に進んでいます。

Webシステム開発の外注が浸透をはじめたのは2000年以降で、「ITの導入をしたいけれど開発ができるエンジニアが社内にいない」、「システム開発のために人材を採用して組織を編成するのは大きな負担」といった問題を解決する手段として注目されました。現在は社内DX化が進み、営業支援システム、生産管理システム、在庫管理システムなど、あらゆる業務のシステム化が進んでいます。

システム開発は内製化すべきではない?

システム開発は内製化すべきではない?

システム開発を自社で行う「内製化」を進める企業もまだまだ多くあります。ネット事業による収益が会社の売上の大半を占めるのであれば、システム開発はできるだけ内製化を図った方が長期目線でコストの削減ができます。

一方で、エンジニアの人員が数人程度の中小企業でシステム開発の内製化を進めると、思わぬ弊害が出ることがあります。
例えば、システム開発や運用の中枢を担う従業員が退職してしまった場合はどうでしょうか。在籍している従業員では退職者の業務を賄えない場合、急いで人材を採用しなければなりませんし、もしくはIT業者に開発と運用を委託することになります。社内の内製化が失敗に終わってしまうと、最悪システム開発が途中で頓挫してしまうことが懸念されます。

システム開発を内製化するのであれば、上記のようなトラブルに対しても対処できるよう、事前に解決策を模索しておくといいでしょう。

開発期間が長期におよぶ場合は内製化も視野に

一方で開発期間が長期におよび大規模プロジェクトの場合は、内製化の方がコスト面と開発面でも有利となることが多いです。システム開発が長期にわたるケースでは、途中でシステムの仕様や目的が変わることが多々ありますので、自社開発であれば、臨機応変にシステムの変更や追加修正が可能です。

また、システム開発中に会社の事業方針が変わり、ちゃぶ台返しが発生することもしばしばあります。システム開発を外注に出していたら、これまでの費用は無駄に終わってしまうことでしょう。自社開発であれば、開発スキルやノウハウは社内に蓄積することができますし、従業員の育成も図れるので、決してすべてが無駄に終わるわけではありません。

システム開発を外注する費用相場

システム開発を外注する費用相場

システム開発には大きく分けて「基幹システム」、「業務支援システム」、「Webシステム」に区別することができます。

基幹システム……事業の根幹を支えるシステムで、「このシステムが停まると業務ができない」といった重要な役割を持ちます。必然的に費用は高額になる傾向にあり、一から自社向けに開発するとなると、200~500万円ほどが費用相場となります。

業務支援システム……顧客情報管理のような現場を支援するシステムとなります。50~200万円程度が費用相場となりますが、業務支援システムの場合は、IT業者が保有している既存のツールをそのまま使用したり、少しカスタマイズを加えるだけで利用できることも多く、その場合は5万円~数十万円程度に抑えることも可能です。

Webシステム……予約機能やショッピング機能といった情報処理システムの構築となります。大がかりなシステムでない限りは50万円~100万円程度が費用相場となりますが、事業の拡大に伴い機能も複雑化していき、その都度追加費用が発生します。

システム開発の外注を管理。勘定科目・仕訳を解説

システム開発の外注を管理。勘定科目・仕訳を解説

システム開発の外注管理において、会計上はどのような仕訳をするべきなのでしょうか。外注したシステムは一般的に自社で使うことを想定しているため、これらは無形固定資産として資産計上する必要があります。ソフトウェアは5年間が償却期間となるので、決算時に減価償却を行うのが普通です。

ただし、Webのシステム開発は「システムの設計」、「システムの開発」、「システムの導入と運用」の3つのステップに分けることができますが、このうちの設計段階では取得価額に含める必要がないというのが一般論となります。その場合は「研究開発費」として費用処理することができると考えられますが、どこまでの費用が認められるかなどは、しっかりと吟味して、論理的に税務当局に説明できるようにならなければトラブルの元となります。

ちなみにシステム購入が10万円以下であれば、勘定科目は消耗品費として経費計上することができるので、無論減価償却も必要ありません。

自社で管理を。システム開発の外注は丸投げすべきではない

自社で管理を。システム開発の外注は丸投げすべきではない

Webシステムの開発を外注に出しても、開発業者にすべてを丸投げするのはよくありません。自社でノウハウを蓄積することができないだけではなく、システムが自社で把握・管理できていないのであれば、システムの内容が完全にブラックボックスとなってしまいます。外注先の倒産や業者の変更、システム開発の内製化などに直面した際、業務に多大な支障が発生する可能性もあります。

近年懸念されるシステム開発の外注の多重下請け構造化

企業がシステム開発をIT業者に外注する際、懸念されるのが「システム開発における多重下請け構造」です。依頼する企業からみれば、「依頼したIT業者が設計から開発まですべて行う」ことが当然と考えますが、実情は異なることが多くあります。外注を受けたIT業者は“元請け”と呼ばれますが、元請けの業者が携わるのは依頼主との窓口および設計、ディレクション業務のみで、実際に開発するのは別のIT業者であることが少なくありません。

このように、元請けに対して下請け業者が1次請け、2次請けと存在することはよくあり、酷いときには5次請けまであることもあります。このような多重下請け構造の問題点は、「多段階になればなるほどサービスと品質が落ちる可能性が高い」ことです。元請けから伝言ゲームのように下請けに情報伝達がされる過程で、発注者の意図していない仕様へと変わっていったり、納期が大幅に遅れることも珍しくありません。

依頼主となる発注者は開発するシステムによって数百万円を元請けに支払うことがあります。にも関わらず欠陥が散見され劣悪システムが納品されたらたまったものではありません。

完成品が存在するシステム開発の外注は「請負契約」

発注元と外注先が締結する契約には「請負契約」と「準委任契約」の2種が存在しますが、Webシステム開発では主に「請負契約」が採用されます。システム開発を外注する場合は、必ず成果物(システム)があります。そのシステムの“完成”と“納品”を保証する契約が請負契約となります。ただし、請負契約では「契約後の仕様の変更や追加は別途料金が発生する」ことがデメリットとして挙げられます。一般的にシステム開発のほとんどは請負契約で進められますが、初めてのシステム開発の外注であれば、契約前の要件定義は時間をかけて、具体的に作成することが重要となります。

システム開発完了後の保守や運用は「準委任契約」

一方でシステム開発が完了し、実際に運用をはじめたあとの日々の修正、追加、更新などをIT業者に外注するときは、請負契約ではなく「準委任契約」が適切な契約となります。準委任契約は成果物の提供を目的とするのではなく、人やシステム開発のリソースを提供する意味合いが強いため、優秀なエンジニアに外注することができれば、非常に高い費用対効果を得ることができます。一方で、外注先のエンジニアに要件を的確に指示・管理する必要があるため、マネジメントスキルの高い従業員が社内に必要となります。

システム開発を外注するメリット

システム開発を外注するメリット

初めてシステム開発をIT業者に外注する企業担当者の中には、「具体的にシステム開発を外注するメリットはなんだろう」、「社内でエンジニアを採用してチームを作った方が自由度が高い気がするけど」と疑問に思っている方も少なくないでしょう。そこで、ここではシステム開発を外注するメリットをご紹介します。

必要経費・投資費用を明瞭に外注できるメリット

まずシステム開発を外注するメリットとして、必要経費や投資費用が最大限明確化されることが挙げられます。追加修正を最小限に抑えることができれば、最初の見積もりを超える金額は請求されませんし、不具合が発生しても一定期間は外注先が無償で修正してくれます。また、外注であれば納期も最初に決まるため、大幅な遅延はあまり考える必要がありません。必要な人材が社内に最初から揃っていれば自社開発してもいいのですが、IT企業でもない限り、高度なシステム開発ができるSEが社内に複数人在籍しているところは多くはないはずです。

社内のスリム化・人件費の節約ができるメリット

Webシステム開発はプロジェクトの規模にもよりますが、およそ5~10人で行われるケースが多いです。自社でシステム開発をするのであれば、多くの企業は新たにエンジニアを増員しなければならないはずです。昨今は組織の肥大化を防ぐため、社内のスリム化が企業に求められています。システム開発によって人件費が会社の利益を圧迫してしまうことは言うまでもありませんし、エンジニアのスキルもばらばらのため、どのくらいの期間と工数を要するのかも初期段階では不透明です。仮にシステム開発のためにエンジニアを増員した場合、システム開発が完成したあと、エンジニアの仕事がなくなってしまうことも懸念されます。

一方で外注であれば、人件費やその他想定される開発コストを抑えることができ、システムが運用開始すれば、より一層社内のスリム化を推し進めることができるでしょう。

不具合が起きても外注先が対応してくれるメリット

納品されたシステムが何かしらの不具合を起こしたり、使用している中でバグが見つかるケースは決して少なくありません。システムの欠陥が発見された際は、「契約不適合責任」という民法に基づいて外注先は責任を負わなければなりません。契約不適合責任で依頼者が外注先に責任を追及する方法は下記3つとなります。

1.履行の追完請求
外注先は、不具合を修正して完全なものを納品しなければならない義務です。
2.代金減額請求
外注先が不具合を修正しなかったり、または修正できない状況に陥っている場合は、欠陥の度合いに応じて代金の減額を請求することができます。
3.損害賠償請求
開発・納品されたシステムが欠陥によって機能しなかった場合や、自社で修正をしたときは、外注先に損害賠償請求をすることができます。例えばシステムが使えなかった期間中に想定される機会損失が合理的に数値化できれば、その想定損失分を損害賠償請求することが可能です。また、別のIT業者に修正を依頼した場合は、その分の費用も請求できるものと考えられます。

注意点としては、上記の権利を請求できる有効期間は1年となりますが、これは納品されて1年ではなく、不具合が発見されてから1年間となります。

システム開発の外注のデメリット

システム開発の外注のデメリット

一方でシステム開発を外注する際はデメリットがあることも覚えておかなければなりません。デメリットを把握した上で、それでもメリットが上回ると判断した際は、システム開発を外注するといいでしょう。

社内の内製化が進まない

システム開発を外注するうちは、一向に社内の内製化は達成することができません。システム開発が長期におよぶ場合や、システムのブラックボックス化を極力防ぐためには、自社の内製化が推奨されます。しかし、冒頭でご紹介したように、近年は日本に留まらず世界的に事業のアウトソーシングが主流になっています。そのため、内製化にはもともと興味がない、または事業方針としてアウトソーシングを推し進めるのであれば、外注による弊害は気にならないでしょう。

システム開発の管理は徹底を。外注を失敗しないポイント

システム開発の管理は徹底を。外注を失敗しないポイント

システム開発をIT業者に外注するといっても丸投げして任せきりにするのではなく、イニシアチブは自社でとるつもりでシステム開発の進捗をしっかりと管理するのが、失敗しないポイントとなります。「現在どの程度までシステム開発が進んでいるのか分からない」、「最近まったく担当者から連絡がないけれど、仕事をしてくれているのか心配」といったように、手綱を放してはいけません。あくまでも自社と外注先は二人三脚で1つのシステムを開発する認識でいるのが成功の秘訣となります。

外注に出す前に開発するシステムの中身や目的をはっきりとさせる

IT業者に「自社向けに顧客管理システムを作ってほしい」と問い合わせても、具体的な目的や技術的要件、納期、予算などを考えていなければ、外注先も困ってしまいます。そのため、外注に出す前には、開発したいシステムの目的を明確にすることが必要です。また、多少負担になってしまいますが、システム開発を外注に依頼する際は、「RFP」と呼ばれる提案依頼書を作成すると、担当者と最初から円滑な意思疎通が可能となります。

RFPは決まったフォーマットはありませんが、最低限下記事項を含めて作成するようにしましょう。

・システム開発の目的
・システム開発を依頼するに至った経緯・背景
・現在自社における課題・問題点
・納期(いつからシステムを稼働したいか)
・予算

システム開発分野に対して深い知識があればいいのですが、自信がない場合は一人で考えるのではなく、従業員とミーティングをしてさまざまな角度から意見を集めるのがおすすめです。

いま対応できるシステムではなく、将来の事業拡大も視野に入れる

システム開発は決して少なくない投資費用を必要としますし、企業の事業継続・発展の根幹をなす重要なプロジェクトであることが多いです。そのため、システム開発は現在抱えている課題や問題解決のためだけではなく、3年後、5年後の事業拡大を視野に入れて、拡張性をもった開発を目指すことが推奨されます。

システム開発の外注先の選び方

システム開発の外注先の選び方

初めてシステム開発を外注する上で問題となるのが、「何を基準にIT業者を選べばいいか分からない」、「業者のホームページを見ても、どこも似たようなことしか書いていない」といった外注先の選定方法です。ソフトウェア会社は全国で1万5000事業所以上ありますし、システム開発業者の事業内容自体は正直どこも似通っているのが現状です。

もし外注先を選びかねているのであれば、下記に解説する条件を選定の基準にしてみてはいかがでしょうか。

下請けに出さないで自社で100%システム開発する業者

上記でご紹介したように、システム開発の依頼を受けたあと、自社で開発せずに下請けに任せるIT業者は外注先としては信用に足りません。過去に下請けを請け負った経験があるかどうかは別に、少なくとも自社が外注するシステムに関しては、100%開発に関わってくれる業者を探すといいでしょう。また、開発のあとの運用や保守に関しても、事前に提案してくれる外注先は心強いです。

外注がしやすくプロセスを丁寧に説明してくれる業者

システム開発を外注すると、要件定義を確認し、契約をしたあとの設計・開発期間は担当者から連絡がなく、疎遠になりがちです。担当者とはビジネスチャットツールを介して連絡を取り合うことが多いですが、こちらが相談しても返信が来るのが3日後であったり、電話をしても素っ気ない対応が続くと、自ずと外注先に対して不信感が溜まってきます。また、外注先の担当者のコミュニケーション能力が低いと、依頼者の要望を正確に理解・把握することが難しく、間違った認識のまま開発が進んでしまう可能性もあります。

開発納品後にも引き続き保守を依頼するのであれば、お互いの信頼関係がより大切となりますので、外注先の業者および担当者には、単純なシステム開発スキルだけではなく、対人コミュニケーションスキルの高さも求めたいところです。

システム開発の外注の際に注意したい契約内容

システム開発の外注の際に注意したい契約内容

システム開発の外注先が決まり、見積もりにも合意をしたあとは、正式に契約を締結します。契約書に決まったフォーマットはなく、呼び名も「業務委託契約書」や「開発契約書」などとIT業者によってさまざまです。ただし、契約書に記述される内容や目的はほぼ一貫しており、

・開発するシステム内容のお互いの認識の差異をなくすこと
・システム開発を途中で頓挫することなく完成させ納品させること
・納品期日を守ること
・トラブルが生じた際の解決方法

などが明示されています。外注の中でもWebシステムの開発は、手に取ることができない成果物となり、また、製品仕様や不具合などを巡って企業間の争いに発展することもしばしばあります。契約書は両社の関係を良好にするものであることを念頭に、細部まで吟味して署名するようにしてください。

「基本契約」と「個別契約」を確認する

システム開発に伴う契約書は「基本契約」と「個別契約」の2つに分けることができ、それぞれで契約を交わすのが一般的です。基本契約は作業範囲や定義、役割分担、仕様、契約不適合責任に関する規定といった基本事項を定めた契約となります。基本契約の段階では不確定要素も多く、まだ具体的に決まっていない要件もあるため、詳細は個別契約に記述することになります。個別契約は、詳しい作業内容や仕様変更・追加の際の判断などを記した契約となり、外注先によっては各工程ごとに交渉・取り決めをするところもあります。

基本契約と個別契約はどちらも大切な契約となります。また、両契約書の内容で矛盾が生じた際は、どちらを優先するかを基本契約に盛り込むことになりますので、依頼をする企業担当者はそちらも確認してください。

まとめ:システム開発の外注は社内で吟味して選んで

まとめ:システム開発の外注は社内で吟味して選んで

今回はシステム開発の外注のメリットとデメリット、注意事項などをご紹介しました。システム開発は規模によっては1年以上かかる場合もあり、費用も高額になります。そのため、外注するIT業者は十分に社内で吟味して選ばなければなりません。一方で信頼のおけるシステム開発の外注先を見つけることができれば、自社の事業に大きな恩恵をもたらしてくれることでしょう。

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